3-① メンター制度を始めるタイミング

メンター制度を始める最適のタイミングについて考えてみましょう。

 

制度の対象は、中途採用者を含む新入職員ですから、基本的に採用時期と同じです。

 

(1)求人⇒採用のピーク

 

【春パターン】 1月・2月 ⇒ 4月

 

・年間で最も求人が多いのは1月と2月で、採用は4月1日になります。

 

・転職者の場合、3月末日まで前職の仕事があったり、着任前に転居の必要があったりするので、4月には間に合わず5月1日採用となるケースも少なからずあります。

 

【秋パターン】 8月・9月 ⇒ 10月

 

・次に多いのが求人8月・9月、採用10月のパターンです。

 

・年度前半の事業評価と見直しに伴い求人が増える時期です。
採用は10月1日ないし11月1日となります。

 

・4月に就職した人が早期に転職を考える場合、求職モチベーションは、お盆明けに最大化するでしょう。早い場合は、9月1日採用というケースもあります。

 

(2)平板化する就職時期

 

「新規高卒者離職率」のグラフをご覧下さい。

 

 

厚労省から、全産業についてのデータが発表されたのは、平成30年度が最後です。

 

それ以降は、離職率の上位5位までしか発表されていませんが、最新の令和2年度のデータを見ると、傾向は以前とほとんど変わっていないことが分かります。

 

全産業の中で、最も離職率が低いのは、電気、ガス、水道など、インフラ産業で、3年間でわずか9%です。
定着率が高いことから、求人は1月、2月で、採用は4月1日付けのみです。

 

一方、保育士を含む「医療・福祉」の離職率は高く、3年間で半分近くの人が辞めて行くことが分かります。
その分の補充採用がすぐに行われますので、採用時期が通年化、平板化していると考えられます。

 

これらのことから、メンター制度の適切な開始時期は、次のようになります。

 

〇メインの開始時期(春)

 

4月か5月です。

 

制度担当者の立場から見れば、3月末にメンターとメンティの顔合わせを済ませておき、4月1日にスタートするのが理想です。

 

ただし多くの職場で、3月は1年のうち最大の繁忙期に当たりますので、GW明けに制度スタートする選択肢もあります。

 

5月に制度をスタートする場合であっても、4月中は、職員全体が新入社員の気持ちに寄り添い、言葉かけを増やすなどの工夫が重要です。

 

実際に私の知る認定こども園で、4月1日に採用した保育士3名が、4月末日で全員退職したケースがありました。

 

〇サブの開始時期

 

〇状況に合わせて柔軟に開始する場合

 

求人、求職活動が通年化、平板化していますので、制度スタートが必ずしもメインの春パターン、秋パターンになるとは限りません。

 

サブの開始時期としては、メインとメインの中間となる時期、つまり、7月と1月を検討してみてください。

 

1月にスタートする場合は、間もなく新年度になりますので、対象者を絞った簡易的な取り組みにしておき、4月に本格的に開始するという流れにしておくと良いでしょう。

 

〇まとめ

 

メンター制度開始時期のメインは、春の4月と、秋の10月です。

 

採用時期が通年化、平板化しており、非常勤職員の場合、さらにその傾向が顕著です。

 

非常勤職員は、情報網の外に置かれることが多いため、メンター制度による支援の重要な対象者となります。
採用状況をみながら柔軟に対応するためには、サブの開始時期として、中間の7月、1月も念頭に入れておいてください。

 

いずれのケースでも、2巡目の開始時期は、年度開始時期である4月(外資系の場合9月もあり)に揃えるようにしましょう。